理事長所信

基本方針
持続可能な地域に向けた志の共鳴
地域資源とSDGsの融合による経済の創出
時代に則した組織リノベーション
志を持った人材の育成と会員の拡大

第45代 理事長 青木 孝幸

【はじめに】
「この木は 100年前の先祖が植え、手入れをし、今、私たちが恩恵を受けているのだ。
だから自分の金儲けのためだけに、切ってはいけない。次の世代にも残さなくてはいけないのだ。」
これは、伊勢原市出身の映画監督 矢口史靖氏の映画「WOOD JOB!」の中の1シーンである。
林業をテーマとした映画ではあるが、今、切り倒している 木は自分達の祖先が植えたものであり、今、植えた木を切り倒すのは、今度は自分たちの子孫であり、まさに100年先を見据えた仕事である。
これは今の世界に必要な持続可能な地域に求められていることに通ずるものがある。
今の私たちの生活は先達の方々が紡いでいただいた自然や歴史・文化、経済の発展の中で、
その恩恵を受け生活を送る事ができていることを自覚する必要がある。
そして、我々が自己中心的な考えや私利私欲の為だけに、その大切な資源を破壊してしまっていたら、次の世代に今の豊かな自然や歴史・文化を繋げることはできなくなる。
1年先の未来を予想する事も難しい時代ではあるが、未来に向けて行動を起こすことはできる。
そして、その行動こそ未来に繋げる緑豊かな自然や悠久の歴史・他国に誇れる日本人としての文化や道徳観、そして、地域の発展に繋 が る経済の成長であると考える。これらは今を生きる我々が恒久的に持たなくてはならない志であり、この志を多くの市民と共鳴し、次代に繋げていくために行動していくことこそが我々青年の責務である。
〇企業×親と子ども×SDGsで繋がる持続可能な社会

青年会議所は、2030年 までに世界が取り組む課題であるSDGsの達成に向け、真っ先に取り組み始めた、日本最大のSDGs 推進団体である。 多くの企業で SDGs の取り組みが開始されてきている反面、一般市民にはまだまだ認知がされていない現状がある。企業の取り組みとより若年層からの理解の両輪がSDGsの推進となり、より良い社会に向けて必要なことである。
これまでも伊勢原青年会議所では SDGs の推進に向けて取り組んで参りましたが、より実践的な取り組み段階に入ってきており、本年は 、より多くの企業に参画をしていただき、 SDGsを活かした取り組みへと発展をさせていく。伊勢原市内の企業で神奈川県が管轄している『かながわSDGs パートナー企業 』の認定を受けているのは4社(2021/5/26現在)であることからもより企業に向けた取り組みを推進していくことが、市内のSDGsの推進と企業の価値向上にも繋げられる。
まだ未実施の企業では、その価値を見計らっている企業もあるだろう。持続可能な社会の構築と企業の発展を通した経済成長には多くの企業がSDGsを通して社業の価値を高めることを理解し、導入していただく事が必要である。SDGsインディケーターに併せた取り組みの提案など青年会議所のこれまでの取り組みや先例事例を通し、プラットフォームとして、市内企業のSDGsの推進を図ることで持続可能な地域へと発展していくはずである。
また、家庭や若年層に対しても親子や教育の一環として一緒に取り組むことで市民全体がSDGsの推進にも繋げていくことができると考える 。 伊勢原青年会議所でも近年は日本本会の事業と連携して学生にSDGsを学び啓発する場を提供してきている。そう言った事業の推進や子ども達の目線で取り組めることを理解し、明るい未来を見せることが必要である。親世代 と子ども達が理解し、その理念を 共鳴し合う事で伊勢原のSDGsへの取り組みが加速していくと確信し、次代に向けた明るい豊かな社会の創造に繋げる。

〇地域資源×アイディア×SDGs の融和による経済発展の構築

誇りに持てる地域であれば、人はその地域の良さを自分の言葉で伝えることができる。
では、今の伊勢原市民はどれくらい自信を持って伊勢原市を他市の人に伝えることが出来るだろうか?
2010年から伊勢原青年会議所では 地域を誇れるアイデンティティの復活を目指し、「納め太刀」を通した事業を行い、市民や観光客に周知をしてきた。2016年には、この納め太刀の文化が日本遺産に認定されるまでになった。こんなに素晴らしいポテンシャルがあるにも関わらず、まだまだ、認知度が低い現状がある。
この状況を打開するためには、我々青年の新しい発想で、市民に共感を生み出すことが必要である。
伊勢原市民はもとより、観光客に大山に登る時は「納め太刀がしたい」、「納め太刀をするために大山に行こう」という納め太刀のストーリーを普段から触れる事ができる文化として定着されたなら、納め太刀の価値が見直され新たなまちの誇りとなるはずである。更には、グリーンインフラの活用や社会資源の再利用を通して行政や地域企業商店や地元の方々との連携を図り 、地域経済の発展に繋げることができると確信をする。
また、2006 年から続けている GET KOMA CHAMP 小学校対校選手権大会も毎年、地域の方々と連携して開催をさせて頂いているが、さらに継続的に運営をするために組織の見直しと新たな関り方を構築していく事を模索していく。
地域資源を活かし多彩な連携により経済成長へと繋げる取り組みの推進を通して子ども達の笑顔と地域を誇りに思う心を育んでいけると確信する。

【多様性溢れる組織に向けたリノベーション】

1973年に伊勢原青年会議所が発足してから44年を経過している。会員の増減もあったが、今では180名近い卒業生を地域にお返しし、地域の発展に寄与される人材を多く輩出している。
変わらず運営されてきた組織も時代に併せて変化が求められている。特に、多様性が溢れる社会を目指す現在においては、誰もが参画しやすい組織へと変化をさせ、多様な意見を取り入れる必要がある。
これまで主に青年会議所を担ってきた、地域企業の男性経営者や個人事業主だけでなく、性別にとらわれず、サラリーマンや主婦、学生といった様々な立場の人が集まり、意見を交わすことが、地域 課題を理解するうえで必要なことである。
そのために、長年続いてきた青年会議所の運営も、会費や、会議の時間等を改めて 見直す時が来ている。組織として 青年会議所の設立の目的と現在の社会情勢から、新しい生活様式に併せていく事が求められているはずである。
これまでの集まる事が当たり前だった時代から、 集まれない事をピンチだけでなく、チャンスと捉えることで、リモート開催やハイブリッド開催などもできるようになったからこそ、 ニューノーマルを前提として、ICT の活用による時間と距離の縮めることで、より効率的な運営を取り入ることが出来るのである。

新たなイノベーションに向けて、議論をし、組織の変革へとチャレンジしていきます。その中で全国的にも進められている育LOMを取り入れたり変える所は変え、守るべきところは更に発展をさせていくことで、組織運営の安定化と青年会議所の志を紡いでいく。
また、青年会議所の変わらない志と運動は、市民に共感を得るだけでなく、社会にインパクトを与える事業も多く行ってきている。我々だけの自己満足にならないよう、 これまでもSNS等で有効な情報発信を通して、事業の本質の伝播をしてきた。しかし、我々の発信している内容が受け手から本当に必要な情報となっているのか?参画したい、かっこいい、楽しそうなど市民が共感を持てるブランディングを意識していくことも必要である。
これまでの事業報告だけでなく、より市民に参画の機会を提供 することにも注力すると共に、事業の構築に向けても議案書ばかりに時間を費やしてしまい、事業の内容が共感を持たれる内容としてなりきれていない事もある。社会課題の解決にはより多くの賛同者が必要である。我々の運動は効果的な情報発信で興味、関心を持ってもらい、市民が参画しやすい事業構築で社会課題を理解していただき、解決に向けて共鳴していただくことで市民意識変革へと繋がると確信をする。

〇社会を豊かにしていくJAYCEEの誇りの連鎖

青年会議所は社会を豊かにするために行う無条件の奉仕であり、地域、社会、市民に対する愛で行われている。
地域に起こせる社会課題に対するムーブメントを起こせるのは青年会議所だけである。
2018年に始動した「コネクト デザイン」の中期ビジョンのもと、SDGs の推進や企業や行政、他団体との連携を構築してきた。2023年には伊勢原青年会議所設立45周年を迎える。
新たな時代に向けたビジョンの策定にも取り掛かる必要がある。改めて社会課題を見つめ、これからの未来を志向し、青年会議所の方向性を指し示す議論を行っていく。

青年会議所は誰もが40歳になると卒業を迎える。だからこそ常に新陳代謝が行われ、毎年委員会や役職が変わる事で自己成長も叶うのである。会の存続には会員の拡大は必須であるが、青年会議所の魅力は何か?自身にとって、社会にとって必要な理由は何かを見つめ直すことが青年会議所を他者に勧める第一歩である。自己成長とは、学びから見識を深める事だけではない、事業を組み立てるプロセスやメンバーと協力して成し遂げるチームワーク、人に伝えるコミュニケーション力、ゴールを明確に指し示すリーダーシップこれらすべてを短期間で学べるのは青年会議 所だからできることである。地域や行政の方々と の 繋がり、同じ志を持った仲間 の輪が 全国にできるのも青年会議所の特徴である。自己満足の奉仕活動ではなく、時間と会費を使って 行うことは、自らの人生を 豊か にするだけでなく、社会の豊かさにも繋げられるはずである。

青年会議所で言われる事で入会する時は、「仲間が欲しい」「成長がしたい」「会社の発展に繋げたい」と動機はそれぞれ違いがあるが、自分の利益を考えていることが多い。しかし、卒業する時は多くのメンバーが、自然と世の為、人の為、子ども達の未来の為を 考え行動するようになる。明るい豊かなまちを次代の子ども達に繋げようとする「志」となっている。まさに価値観を変えさせ 、まちに対する無償の奉仕を、愛情持って取り組めるようにさせる魔法の団体である。
そんな団体を誇りに思えれば、会員の拡大は喜びでしかありません。それぞれの喜びを連鎖させ、志を胸に会員の拡大に取り組んでいく。

【おわりに】

私は伊勢原市内で介護の仕事に従事をしている。私がこの仕事を始めたのは2年くらい前であり、ちょうど介護保険制度が始まった頃である。2年前に関わらせて頂いていた高齢者は戦争体験をされた方々も多く、そうした悲惨な体験をお話しして下さる方もいた。そして、20年が経ち今、関わらせて頂いている方々は、戦後の復興から経済成長を遂げた時代を一生懸命に生きてこられた方々に変わってきている。こうした方々のそれまでの人生での経験や培ってこられた原体験は、今の私たちの生活の基盤となっており、感謝と敬意の思いでいっぱいである。だからこそ、私たちも次の世代にしっかりと豊かな社会を繋げ、子ども達に夢や希望が描ける社会を創る事が必要である。

「経験は 財産になり、夢は活力になる!志あるところに未来が生まれる」

スローガンのデザインに込めた3つの丸は過去と現在、未来を表している現在の丸が過去と未来を繋ぐしっかりとした役割を担う事が必要である。
今年1年で大きな変化はできないかもしれない、しかし、小さな志を多くの子ども達に持ってもらうことができたなら、その小さな志から大きな変化が生まれる可能性が秘めているはずである。先達から受け取った確かなメッセージを 我々の行動で守り、発展させ次の子どもたちにも繋げていこう。
社会の繋がりを次の世代を生きる子ども達の希望として、この豊かなまち 「いせはら」 の未来のために。
1年間精一杯精進をしてまいります。 どうぞよろしくお願い致します。